富士見ファンタジア大賞で三次通過&電話待ちして四次落ちした話。
芹澤です。
受賞を夢見て執筆にいそしんでいるワナビなら一度は体験したい電話待ち。
いわゆる、高次選考に残って編集部からの電話を待っている状態のことです。
ワナビ歴10年にもなる私も何度か経験がありますが、一度だけ、本当に電話がかかってきたことがあります。
相手は、ファンタジア文庫を出版しているファンタジア大賞の編集部。
これは、その時の一部始終を記録したものです。
できるだけ詳細に書きました。
ある日、一本の電話が…
2018年12月上旬のことです。
旅行先からの帰り道、新幹線に乗っていると珍しく携帯が鳴りました。
ちょうど乗り換えのタイミングで時間がなかったため電話をとりそびれてしまったのですが、落ち着いたところで改めて確認すると見慣れない番号が表示されていました。
03からはじまる東京の番号です。
「まさか・・・ね」
半信半疑で電話番号をネット検索したところ──『 富士見書房 』とヒットしたのです。
「マジか(゚ω゚)」
じつはとある小説を富士見ファンタジア大賞に投稿していたのです。
電話がきたということは良い連絡?
もしかして最終候補?
どどどどうしよう!!??
などと緊張が高まる一方でとても不安になりました。
ファンタジア大賞への投稿は今回が初めてだった上、以前最終に残ったことのあるGA文庫からも電話をもらったことがなかったのです。
初です、初電話。
なにを聞かれるんだろう。
なんて答えたらいいんだろう。
次いつかかってくるの?
相手の名前分からないけれど折り返した方がいいの?
パニックでした。
その日は肌身離さず携帯を持ち歩きましたが、結局着信はありませんでした。
翌日、ふたたび電話が…
翌日、また電話がありました。
車の運転中だったのでかけ直しをお願いし、急いで自宅に戻り、だれにも邪魔されないよう部屋にこもって電話を待ちました。
約束の時間、電話が。
お話の内容は、
・拙作が3次通過したこと
・この後の選考について
・入選した場合の受賞意思
・盗作等がないかの確認
・応募作の売りやアピールポイント
・好きな小説や作家など でした。
その際、拙作が改稿作であることや評価シートで指摘された内容を正直に伝えました。
四次選考が終わったらまた連絡すると言われ、電話を切りました。
通話時間を見るとほんの30分くらいでしたが、もっとずっと長く感じました。
耳に汗をかくことなんてあるんですね。
クリスマスプレゼント…ならず
次に電話をいただいたのはクリスマス前。
四次選考で落選したことや選考会で挙げられた意見などを教えて下さいました。
詳しくは割愛しますが「主人公」について言及されました。そこが改善されていれば違う結果になったかもしれない、とのこと(結果論でしょうが)。
もう少しラノベを勉強して再挑戦して欲しいと言われて電話を切りました。17分くらいでした。
そのときの正直な感想を書きますね。
ホッとしました。
悔しいよりも先に安堵したんです。
なぜか。
入選&受賞したあとのことが不安だったのです。
勝手な妄想と笑われるでしょうが、改稿の大変さ、書籍化したあとの売り上げの心配、打ち切りの恐怖、続巻があったときのストーリー……考えれば考えるほど胃が痛くなります。
もちろん全てネットから拾ってきた情報であり、私自身の経験は何一つありません。ただ漠然とした恐怖です。
いつかいつかと入選&書籍化を夢見ていながら、いざ目の前に迫ってきたときの恐怖と不安。
ラノベ作家になる決意は出来ていたと思ったのに覚悟が出来ていなかったのです。
結果的に四次落選となり「ざまぁみろ」という所ですが不甲斐ない自分にもがっかりしました。
そして、いま
毎日のように自分の作品のことを考えます。
たくさんの読者さんに愛され、書籍化し、アニメ化し、映画化する妄想までしています。
覚悟はできたつもりです。
さぁいつでもかかってこい、電話。
【追記】拙作が落選した年の受賞作はこちらです