これから小説を書こうとする人へ ~先輩からのいらんアドバイス~

エッセイ,執筆活動

 

芹澤です。

ブログを書き始めてから10年ほど経過しました。ちょうど小説を書き始めた頃で、どちらもこんなに長く続くとは思っていませんでした。

小説に関しては最近ようやくコンテストで受賞したり高次選考と呼ばれるところまで上がれるようになりました。

コロナ禍の影響で最近小説を書く人が増えているそうなので、自分の経験を含めての小説の書き方やアドバイスを送ろうと思います。

 

とは言えまだ未書籍化のワナビであることに違いなく、大いばりで語れるほどのスキルも実績もありませんが、自分のブログなので好き勝手に書いてみます…(笑)

ぜひ反面教師としていただき、興味のある方だけ先をご覧ください。

 

私のきっかけ。ある日突然、出会った

東京での生活に疲れて長野に帰省した私が市営図書館で出会ったのは長野まゆみさんの著書でした。

ご存知の方はご存知と思いますが、流麗で美しい言葉によって綴られる物語はひどく残酷で、男性同士の絡みが多く、性的な描写が多いです(最近はSFちっくな難解な物語に移行しています)

刺激的な内容にすぐさま夢中になりました。凛一シリーズが好きですが、他にも「メルカトル」「テレヴィジョン・シティ」「カルトローレ」が好きです。

当時これといった趣味もなくヒマを持て余していた私は、無謀にも「この人みたいにお話が書きたい!」と決意しました。

それが小説家を目指したきっかけです。

 

アイデアはしぼり出すもの

よく聞きます。「ある日突然アイデアが降ってきた」と。

私の場合は髪を洗っているとき(脳への刺激?)によってふわん、と降ってくることがありますが、それはごくまれ。

降りてきたとしても今考えている話に組み込めない場合や、工夫しないと差し込めないガラクタが多いです。
たとえるなら手にとったジグソーパズルがどこかに当てはまるかくるくる回しながら探るようなもの。ピタリと当てはまることは稀です。

そういった場合は創作ノートにそっとメモして終わりです。あとで見返した時に上手く組み込めることがあります。

 

基本的なアイデアはパソコンの前でウンウンと悩んでしぼり出すもの。この際インプットの多さがものを言うのですが私はこれが圧倒的に足りておらず、いつも苦労させられます。

「作家を目指す人は本を読みましょう。たくさんの経験を積みましょう」というのはこのインプットのためです。

 

頭の中で考えていることを言語化する難しさ

小説を書きはじめた当初「書きたい欲求」がいくらあっても言語化するのはとても難しいと感じました。

日本語の基本である主語述語、てにをは、語尾、語感、漢字のひらき(「漢字」を「かんじ」とひらがなにすることです)などなど。

これは、それまでにどれだけ読書したのか・どれだけ文章を書いてきたのかが重要だと思いますが、初心者の多くは難しい漢字を多用する「いかにもそれっぽい」小説を書くことが多いと思います。

だからこそ書き上げたときの満足感は半端なく、「このままデビューしたらどうしよー」と浮かれるのです。

しかし現実的な話をすると、そういった自己本位の文章はほとんどは駄作です。私自身とてもではないですが十年前の文章を読み返したいとは思いません。恥ずかしすぎて泣きそうになるからです。

数行でもいいので日記を書くことをお勧めします。

 

 

ちょっと頑張ればすぐにデビューできる。と思っていた時期もありました。

「小説を書く」というと、なんだか「とてもすごいことをしている」気分になるものです。

自分の書いた文章が本になり、すばらしい挿絵や見事や装丁を施されて本屋に並ぶ。
それはとても素晴らしいことですが、現実は甘くありません。

前述のとおり私は十年書きつづけてもデビューできていません。もちろん才能がないからです。

「こういうお話が書きたい」「この賞に応募したい」「このレーベルからデビューしたい」
強い熱意で毎回挑んでいますが、それでもデビューには届かないのです。才能がないからです(2回目)。

落選が重なっていくと次第に自信がなくなっていきます。仕事ではキャリアを積み重ねているのに小説ではスタートラインにすら立てていないのです。焦ります。むやみに腹立たしくなります。嫉妬します。意固地になります。

公募に投稿した小説でデビューする確率は東大の合格率よりも低いとの話もあります。
もしその話を知っていたら「東大合格?できるわけないじゃん!」とやる前から諦めているでしょう。

・文章を書くことはだれにでもできる。

・道具はパソコンだけ。

・Twitterなどを見ればたくさんの人がデビューしているので意外と簡単そう。

そういった錯覚が「小説」という暗黒世界に人々を引きずり込んでいるのだと思います。

もちろんこれを読んでいる貴方が百年に一度の天才作家である可能性は否定しません。また処女作(初めて書いた小説)でたまたまデビューできてしまうラッキーな人である可能性も否定しません。ただこういった凡才もいることをお忘れなく。

 

とにかく書きつづける。ダメだと思ったら諦める。

宝くじに当たるためには宝くじを買わなくてはいけません。

同じく小説家としてデビューしたいのなら小説を書いて応募(またはネット上に公開)するしかありません。
私はこれまで費やした時間を惜しんでズルズルと書きつづけていますが、いつか諦める日もくるでしょう。

・いつまでにデビューするか自分で期限を決めておくこと

・小説執筆以外の趣味をもつこと

・日記を書くこと

・他者の作品を貶めたりバカにしないこと

・孤独な作業がつらくなったらTwitterでワナビ仲間をつくりましょう

これらを守って安心安全で楽しい執筆ライフを送ってください。

それでは。

 

おすすめ書籍

 

テレヴィジョン・シティ (河出文庫)

《鐶(わ)の星》の巨大なビルディングで生きるアナナスとイーイー。父と母が住む碧い惑星への帰還を夢み、出口を求めて迷路をひた走る二人に、脱出の道はあるのか?……SF巨篇を一冊で待望の復刊!

 

 

マナーはいらない 小説の書きかた講座

三浦しをんが的確かつ楽しく伝える、小説の書きかた講座。
伝説のWeb連載「小説を書くためのプチアドバイス」が、書きおろしやコラムを加え、『マナーはいらない 小説の書きかた講座』として、ついに単行本化!
長編・短編を問わず、小説を「書く人」「書きたい人」へ。人称、構成、推敲など基本のキから、タイトルのつけ方や取材方法まで、本書タイトルにあやかって「コース仕立て」でお届けする大充実の全二十四皿。あの作品の誕生秘話や、手書き構想メモを初公開。もちろん(某きらめく一族への)爆笑激愛こぼれ話も満載で、全・三浦しをんファン必読の書!

 

JR上野駅公園口 (河出文庫)

一九三三年、私は「天皇」と同じ日に生まれた――東京オリンピックの前年、出稼ぎのため上野駅に降り立った男の壮絶な生涯を通じ描かれる、日本の光と闇……居場所を失くしたすべての人へ贈る物語。解説=原武史【全米図書賞・翻訳文学部門 受賞作】