【小説】なぜ自信作ほど落選するのか考えてみた【賞】

エッセイ,執筆活動

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芹澤です。

ある賞に「受賞間違いなし!超自信作!」とうきうきルンルンで投稿した小説があえなく一次落ち…

「自信作だったのに…( ;∀;)」と自信どころか自信喪失することはありませんか?

 

ありますよね、きっとあるはずです。

 

今回は「どうして自信作に限って落選するのか」を考えてみました。

 

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そも、自信作とはなにか

そもそも「自信作」とはなんでしょう。

相応の時間をかけて執筆した作品、惚れ惚れするくらいうまく書けた作品、納得のいく作品のことを指すと考えられます。

つまり出来栄えに満足している作品ですね!

「これ読んだら審査員の人も驚いちゃうんじゃないの?」「伝説作ったんじゃないの?」「映画化?ヒロインは浜辺美波がいいなぁ…」なんて妄想が捗るかもしれません。

連想類語辞典で検索したところ、次のような単語がずらーっと並んでいました。(一部抜粋)

完全な ・ すぐれた ・ 最上 ・ 文句なし ・ 納得のいく ・ 満足 ・ 会心 ・ 書き下ろし ・ 分身 ・ 自己表現 ・ 新作 ・ 作家性の高い作品 ・ 我が子 ・ デビュー作 ・ シリーズ作 ・ 代表作品 ・ 娯楽作品 ・ 抽象的作品 ・ 黙示録的作品 ・ コラボ作品 ・ 受賞作 ・ 先駆的作品 ・ 現代作品 ・ 意欲作 ・ 問題作 ・ 映像作品 ・ 人気作品 ・ 公開作 ・ 労作 ・ 人気作 ・ 出演作品 ・ 映画化作品 ・ ノミネート作品 ・ 自伝的作品 ・ 委嘱作品 ・ 成功作 ・ 所蔵作品 ・ 未発表作 ・ 力作 ・ 発表作 ・ オリジナル作 ・ プロパガンダ作品

連想類語辞典より

 

特に処女作に多いと思うんですが、応募する前からアニメ化・映画化のことまで考えてひとりでニマニマしちゃうこと、ありますよね。

大丈夫、恥ずかしいことなんてないです。みんな同じです。

何事も想像の翼を広げるのはワナビの性(さが)なんです。

 

けれども。

結果発表を見て多くの人が愕然としたことでしょう。

 

歴史に名を残すこと間違いなしの自作品がどこにも載っていないのです。

そんなはずはない、と何度見返しても結果は変わらず。

印刷ミス?下読みがあまりの素晴らしさにパクろうとして落としたのか?出版社の陰謀?それとも……(いや、まさか)。

 

ここまで少し大げさに書きましたが、結論から申し上げますと、

どんなに自信作でも面白くなければ落ちる。

それだけのことです。

 

ではなぜ自信作だけが落選するのか

こんなことはありませんか?

ある賞に渾身の自信作とテキトウに書いた小説、あわせて2作を送ってみた。

自信作は一次落ち。テキトウな方は一次を突破して二次落ち・三次落ちだった。

なんで?てきとーに読んでんじゃねぇの?……と。

 

そんなことはありません。

出版社にとって小説はメシのタネ。自分たちが食べていくため(売上をあげるため)に絶えず出版し続けなくてはいけないものです。

賞を開催するにも相応のコストがかかっています(下読み外注、編集者の人件費、サーバー等の管理費…)。

全ては売り上げにつながる面白い作品を発掘したいがため。

だから「面白い=見どころがある」作品は自然と上位選考にあがっていくのです。

裏を返すと落選作は出版社が求めている作品ではなかったということです。

(※でも一次落ちから受賞した86があるじゃん!とツッコミが入りそうですが、下読みさんも人間なのでね。あとあれは物凄いレアケースだと思うので自分にも当てはまるハズ、と思うのはなんとも…)

 

話を戻します。

「自信作」と言いきれるのはそれだけ自分の気持ちが強く入っているからでしょう。

実際、執筆はとても孤独な作業です。

前回受賞作や流行りの研究、資料集め、キャラクター年表、キャラクターイメージ図、プロット作成、世界観の構築、ストーリー展開、執筆、見直し、書き直し、あらすじ作成、投稿……とにかく大変だしパソコン見すぎで目は痛いし〆切は迫るしもう泣きたい……分かります、分かりますよ。

だから苦労の末に生まれた作品をこれ以上なく愛おしく思ってしまうのです。

ありったけの熱意と時間と心血を注ぎ込んだ自信作。これがダメならもう自分は…みたいに追い詰められちゃうんですよね。

 

ですが出版社が求めている作品でなければ落選するのです。

それが自信作であろうがなかろうが、です。

どんなに熱意がこもっていても(過去、まだ紙で応募していた時代には血文字の原稿があったと聞いたことがあります)、ダメなものはダメなんです。

自信に裏打ちされた「面白さ」や「光るもの」がなければ有象無象の作品のひとつでしかない。

すごく悔しいでしょうけれど、受け止めるしかないんです。

落選作≠面白くない ではない

こんな場面を見たことがありませんか?

A賞で落選した作品が別の出版社のB賞では受賞した、そういうケースを見た、などです。

これ、結構あります。

落選したのだから面白くないはずなのにどうして受賞できたのか。

 

なぜか。

A賞では受賞の基準に達していなかったけれど、B賞では求めている作品だったから、です。

 

極端な例えになりますが、A賞では異世界ファンタジーを求めていたのに青春ラブコメを送った。まぁ、落ちますよね。

ですがB賞では青春ラブコメがとにかく欲しかった。そこに送られてきた作品がニーズに一致していたので受賞!ということです。

 

昨今のラノベの賞では特別にテーマを設けていない限りファンタジーでもラブコメでも応募できますが、やはりメシのタネですから、ドロドロの愛憎劇とか戦慄のホラーとか官能小説とか送られてきても困るわけです。

まぁ、あまりにもレベルが高ければ青田買いで受賞させるかも知れませんが、爽やかなラブコメが並ぶレーベルの棚に一冊だけ狂気的なホラーラブコメが置いてあったら……うん……(興味本位で立ち読みはするかもしれませんが)。

 

脱線したので話を戻します。

つまり落選作だから面白くないわけじゃないので、自信作ならどんどん使い回ししましょう。

 

考えてみてください。

もし就職活動で本命の会社に落ちたら、就活を諦めますか?

好きな人に告白して「ごめんね」と言われたらもう二度と恋をしませんか?

 

もちろん辛いです。

就活失敗も失恋も自信作の落選も、自分の心がごっそり無くなったのではないかと思うくらい辛いし、きついです。

その悲しみを無理に押し殺す必要はないです。

つらい、きつい、ばかやろー!くらい叫んでもバチは当たりません。

思いきりぶちまけて、泣いて、心も体も空っぽになったあとで、「さて……、次は何しよう」とゆっくり考えればいいと思います。

 

「今回はダメだったけど、またなんか書こうかな」と思ったのなら、あなたはきっと小説家になれます。

小説家の多くは、何十回という落選の苦汁を飲みながらも「物語」に向き合い、「書く」ことを継続してきた人たちです。

 

このブログを見ている「あなた」が小説家になれる日を心待ちにしています。

それでは。

 

※追伸

「どうして落選したのか」を分析して次に生かすことも大事だと思うので、その辺は改めて記事にします。管理人も勉強中です。

Posted by serizawa