ちょっと本気を出して児童文学を書いてみた【ポプラ・ズッコケ文学新人賞】
芹澤です。
10月31日、ポプラズッコケ文学新人賞に応募しました。
トータル75,700文字。111ページの児童文学(冒険ファンタジー)です。
今回は一次通過以上を目標にして自分なりに「児童文学」を分析しました。
そこで意識したことをメモしておきたいと思います。
※ただしあくまでも主観ですので鵜呑みにしないでくださいね。
出版社の求めるものを知る
小説を募集している賞には必ず「求めている作風」があります。
これを誤るとカテエラとなり、よほど才能のある書き手ではないと先へ進むことはできません。
就職活動にたとえると、求人票を出している会社では設計者を求めているのに「私できます!」と会計士(経理のプロ)が応募してきても「いや、うちはちょっと…」とお断りされるでしょう。
「そんなの分からないよ。好きなものテキトウに書けばいいんじゃないの?」
と思うかもしれませんが、私はテキトウに書いていたため10年経った今もデビューできていないのです…
どうか同じ轍を踏まないで…
難しいことはありません。
なぜなら賞の募集要項に書いてあるからです。
たとえば今回の賞であれば、このように書いてあります。
今を生きる子どもたちが「お腹を抱えて笑い、そして心から泣ける」児童文学作品を心よりお待ちしております!
子どもが自分で考え、動き、成長するものがたり。
子どもたちが自分で選び、本当に読みたいと思えるものがたり。
そんな作品を、子どもたちに届けられる新たな書き手に出会えるよう、第10回ポプラズッコケ文学新人賞を開催いたします。応募作品は、冒険、ファンタジー、恋愛やスポーツなどの青春もの、ホラーやSF、謎解きミステリーなど、児童文学であれば、ジャンルは問いません。
ここで大事なのは3点。
①「お腹を抱えて笑い、そして心から泣ける」=子どもたちの心を動かす物語であること
②応募作品は、冒険、ファンタジー、恋愛やスポーツなどの青春もの…=「冒険」「ファンタジー」の優先度が高い。
③児童文学であれば=過激描写のある作品はお断り
という点です。
なんとなく方向性が見えてきませんか?
ボーイミーツガールまたはガールミーツボーイは絶対条件
多くの小説は「出会い」からはじまります。
恋愛であれば気になる異性の登場
冒険やファンタジーならなんらかの問題を抱える自分と異なる立場の生物(宇宙人、恐竜、幽霊など)
ミステリーなら死体……
「出会い」によって物語が始まる前の主人公の状況・立場・心に変化が起き、ドラマがはじまります。
カメラを筆に変えて変化を追いかけていくのが小説です。
出会いがなくても状況の変化(たとえば身近な人が病気になる・転校する)ことで始まる物語もありますが、いずれにしても変化していく様子をドラマチックに描いていくのが小説です。
主人公の年齢は小4~中1の範囲で
これは児童文学の読者層です。
自分と同じ年齢の女の子が芸能人として活躍したり、わくわくする大冒険を繰り広げたり、ドキドキする恋愛をしていたら読みたくなりますよね。
親近感を大事にしましょう。
なお、上を中1としたのは私自身が中2のときは既にライトノベルを愛読していた経験からです。
性の目覚めや残虐描写を受け入れるようになるため、児童文学から卒業するのはこの頃だと思います。
大人は仲間(協力者)にならない
もちろんね、例外はありますよ。精霊の守り人はバルサ自身がすでに大人ですから。
ただ子どもが主人公のお話であれば、子どもが子どもなりに考え・工夫し・解決していく話の方が絶対に気持ちがいいです。
相手が悪い大人だったらなおのこと。ぼくらの七日間戦争みたいに!
困ったり迷ったりしたときに優しい大人が手を貸してくれてあっさり解決・・・なんてつまらないですよね。
大人は悪くていいんです。ずるくていいんです。その悪に立ち向かうことで読者である子どもは勇気をもらえるんです。
子どもだって正義のヒーロー・ヒロインになりたいんです。
ペット系のかわいいキャラクターが登場する
前述のとおり大人を悪にした場合、主人公には寄り添って支えてくれるキャラが必要です。
見た目は可愛く、喋り方も可愛く(毒舌もあり)、トラブルメーカーになることもありながら、主人公の一番の友だちであり理解者になってくれる・・・それは人間というよりは空想上の生き物の方が都合がいいです(ビジュアル的にも)。
プリキュアなんて最たる例だと思いますが、毎シリーズ可愛いキャラクターが出てきますよね。
大人になると見えなくなってしまうイマジナリーフレンドみたいなものでしょうか。
もう少し年齢層が上のライトノベルでも引き続きペット系のキャラクターは登場しますが、女性向けの作品が多い印象ですね。
男性向けの作品ではヒロインや妹の属性になってしまうのでほぼ登場しない気がします。
さいごに
――というわけで児童文学を書くにあたって意識した点をまとめました。異論は認めます。
今作が無事に一次通過すればもう少し胸を張れるのですが、いまはまだ「私はね?私はこうやっただけたからね?本気にしないでね」という後ろ向きな気持ちです。
くりかえします。
鵜呑みにしないでください。責任はとれませんので。