#双子の日 なので「四ツ目神」の二次小説書いてみた【病み注意】
迎えに来たよ。イミゴ
本日、12月13日は双子の日。
1874年(明治7年)のこの日、「双子の場合は、先に産まれた方を兄・姉とする」という太政官指令が出された。
それまでは、後に産まれた子を兄・姉、先に産まれた子を弟・妹とする地方や慣習があった。
これは「兄(姉)ならば先に母の中に入ったので奥にいるはずであり、後から出てくるはず」、「弟(妹)が兄(姉)を守るため、先に露払いとして出てくる」などの考え方が、江戸時代から明治時代初期にあったためである。
現在は戸籍法により、出生届出・出生証明書に産まれた順で記載することが定められている。
双子と聞いて思い出すのはアプリゲーム「四ツ目神」。このブログでも何度も取り上げていますのでご存知ですよね。
知らない方は↓
私も一応ワナビ(小説家を目指す者)として、僭越ながら二次創作小説を書きました。
ED.12 四ツ目神(新)後のタガタさん視点です。
若干病んでいます。その他いろいろ雑です。ご容赦ください。
ED.13 四ツ目神(深)
チリン。
鈴の音が聴こえるとつい振り返ってしまう。きみが帰ってきたのかと思って。
「見ろよシロ。こんなに高いところまで登れたぞ!」
やんちゃなクロが賽銭箱の上の本坪鈴をよじ登っている。
「あぶないわよ、クロ」
「へーきへーき、よっと!」
心配するシロをよそにクロはどんどん上がっていく。
幼いふたりは気づいていないのだろうか。時戻しの書によって過去が書き換えられ、大切な人がいなくなったことに。
あるいはその方が幸せなのかもしれない。
四ツ目神であるおれのように書き換え前の記憶をもって生きるには、この神社は狭すぎる。
「あっクロあぶない!」
「うわあっ」
じゃらん、と派手な音を立ててクロと本坪鈴が落ちてきた。やれやれ。そうなると思ったよ。
「だいじょうぶかい」
おれの足音に気づいたふたりは途端にバツの悪そうな表情を浮かべた。
「ごめんなさい」
「ごめんなさーい」
とうなだれる。
こんなとき、きみがいたら顔を真っ赤にして怒るんだろうね。と想像したら少し笑ってしまった。
「いいよ。それよりもケガはない?」
膝をついて小さな頭をなでてやると、ふたり同時に顔を上げた。
「へんなの」
とクロ。
続けてシロが、
「あたしたちケガなんてしないのに」
とつぶやいた瞬間、ハッとして手を引っ込めた。
そうだ。
クロもシロもおれと同じ死者だから一時的な痛みはあってもケガをすることはない。
それなのに、きみはまるで生身の人間に接するように「危ないだろ」「ケガをしたらどうするんだ」と怒るんだ。
ふしぎだったな。
おれたちの中では最も生きていた時間の短かったきみが誰よりも痛みに敏感なんて。
そういえば、
以前もクロが大鳥居のてっぺんから落下したことがあったけれど、きみがあんまり青ざめていたから教えてあげたことがあったね。
『平気だよ。おれたちは死者だから痛みに関しては無頓着なんだ』
『ウソつけ。だったらなんでみんな四ツ目神に吸収されていくんだ?』
布の下の表情は読み取れなかったけれど、怒っているように思った。
『痛いからだろ、ここが、痛くて寂しくてたまらない……だから四ツ目神を求めるんだろ。おれもクロもシロもタガタも痛いんだよ、ここが、どうしようもなく』
どん、と胸を叩かれたとき。
とっくの昔に止まったはずの心臓がたしかに鼓動した気がしたんだ。
「――にいちゃん?」
「どうしたの、痛いの?」
シロとクロが不安そうに見つめてくる。
あぁ、おれはずっと痛かったんだ。
気づかないふりをしていたけど、もう限界みたいだ。
「いたい……いたいよ。いたくてたまらない」
きみがいなくなったあの日から心が叫んでる。心が呼んでる。
痛い。痛い。痛い。
ずっと泣いている。
「しょーがねーなー」
「いたいのいたいのとんでけー」
もみじのような手でおれの頭をなでてくれる。クロとシロ。おれを見つめる四つの目。
あぁそうだ、おれは四ツ目神だった。
信仰が薄れるにつれて力も弱くなっているけれど、それでもまだ十分なだけの力がある。
「クロ、シロ、ありがとう。おれは決めたよ」
立ち上がって空を見れば随分と高く感じる。あの雲が流れる先にきみはいるだろうか。
「元気そーじゃん」
「よかったぁ」
はしゃぐふたりをぎゅっと抱き寄せる。
「待っててね。おれが迎えに行ってくるよ。だからまた四人で楽しく暮らそうね。永遠に、ね」
ED.13 四ツ目神(深)おわり。
お目汚し失礼しました!
いつもは一次創作小説書いていますのでよろしければご覧ください。