夏のカップヌードルで掌編
芹澤です。こんにちは、お暑いですね…。
さて、このサイトは30代でラノベ作家を目指す系のブログだったのですがそろそろネタがなくなってきました。
執筆活動はパソコンに向かっての孤独な作業がメインになりますし、内容を見せられない状態で「こうなるんですよ、すごいでしょ!」とドヤってもイメージがわかないと思いますし。
今後は、執筆活動オンリーではなくエッセイのような内容もくわえて更新回数を増やしていこうと思います。
さて「夏」といえば
「カップヌードル」ですよね(唐突に)
昨夜「夏といえばラムネよりプール上がりのカップヌードルだよね」とツイートしたところフォロワーさんから「イメージできないので小説でw」とリプされました。
早速、過去のことを思い出しながら掌編(作文)にしてみました。
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『夏とプールとカップヌードル』
知っているかな。夏休みにはチケットが必要だってこと。
一学期最後のホームルームで先生が配る「〇城公園プール」の小学生無料入場チケット。それがないと夏が始まらないんだ。
土曜日の朝は家族のだれよりも早起きしてお気に入りのバスタオルを「水着カバン」と呼んでいたビニールバッグに詰め込む。テレビの天気予報のチェックも忘れない。太陽はぎらぎら。気温はぐんぐん。最高のプール日和だ。
なくさないようにと冷蔵庫に磁石で貼り付けておいた「〇城公園プール」の入場チケットをポケットに入れれば無敵になれる気がした。
車で15分のところにあるプールの駐車場はもう車でいっぱい。空きを探してぐるぐるしている間に浮き輪に空気をおくって膨らませる。先に車を停めてプールに向かう友だちの後ろ姿が恨めしい。
ようやく空きを見つけてお母さんがバッグで停めようとする。どうか一発で決めてくれ、と願い、うまく白線の中に収まると拍手したくなる。エンジンが止まったらスライドドアを開けて浮き輪とともに勢いよく飛び降りるんだ。まわりの車には注意だけど。
入り口の係のおばさんに入場チケットを誇らしげに手渡し、更衣室へ走る。もう待ちきれない。水着はもう着ている。更衣室でシャツとズボンを抜いて緑のキャップに髪の毛をまとめれば準備万端。
いざ、つめたい消毒槽をぬけてアツアツのプールサイドへ。ぎざぎざの地面に転んだら絶対に痛いので慎重に歩く。あついあつい、足の裏が焦げちゃいそう。準備体操もそこそこに浮き輪を装着して流れるプールにダイブ。さいこー。しばらく流されていると友だちも流れてきて合流する。
楽しくて楽しくて、放送が入ると10分間休憩しなくちゃいけないのが嫌だった(それはそれで友だちと「おせんべ焼けたかな」遊びをするんだけど)
永遠みたいに長い時間はあっという間にすぎて。お昼を過ぎるころになると友だちがひとりふたりと帰ってしまう。本当はもっとずっと泳いでいたいけれど友だちがいない流れるプールはなんだかさみしい。お腹もすいてくる。
「かえろうお母さん」
小さい妹と浅いプールにいるお母さんを見つけて声をかける。来るときはあんなに気持ちがハレバレしていたのに帰りは曇り空のようにどんより。シャワーを浴びて、べたべた張りつく水着とキャップを脱いでビニール袋にまとめる。髪の毛を拭くのが面倒で首にタオルを巻いたまま更衣室を出た。
ヒマそうにしている受付のおばさんに「さよなら」と手を振って外に出る。数メートル先の階段をおりれば駐車場だ。
「カップヌードル食べてく?」
階段手前の休憩室をお母さんが指さした。十畳くらいのスペースにはボロボロのソファー椅子と三台の自動販売機。そのひとつにカップヌードルのふつうのとシーフートが入っている。シーフードはいつも人気で売り切れになっていることが多い。だから110円のふつうのカップヌードルを買う。お湯を注いで大体3分待てばアツアツのカップヌードルのできあがり。小麦色の麺をふーふーさましてすすったときの熱さとしょっぱさが最高。具のエビや肉っぽい塊もひとつひとつ丁寧に箸でつまむ。のどが渇いているから汁まで全部飲んじゃうんだ。あぁ美味しかった。ごちそうさま。
お母さん、また来ようね。(おわり)
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