「君の名は。」の感想

つれづれ日記

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「君の名は。」が公開されて早数ヶ月。ようやく観に行ってきました。
公開されて間もなく映画館に足を運んだものの、あまりの人気で断念してからすっかり意欲を失い、
「テレビやBDになったときでいいや」と諦めていたのですが観に行って良かったです。

テレビや雑誌でも散々取り上げられている作品ですから、今更「ネタバレ注意」などと言う必要もないと思いますが、
「知りたくない」という方は念のためご遠慮くださいませ。
ただし私の場合は「自分の小説にどれだけ活かせるか」という不純な動機で鑑賞しておりますので、純粋な映画の感想ではない点ご注意ください。

 ↓  ↓  ↓

先述のとおり一度鑑賞を断念した経緯から、じつは私、大体のストーリーやネタバレ要素をなんとなく知っておりました。
ですので冒頭の「不自然な三葉の様子」もすぐに「瀧くんね」と分かりました。
そして朝ごはんのシーンで一日経過していることも。妹の四葉ちゃんのセリフではっきり言っていますが、たぶん初見だったら混乱しますね。
この部分に限らず、全体的に日にちの経過が早いです。
実際にはどれくらいの期間、二人は入れ替わりをしていたんでしょう。

あまりにも目まぐるしく日常シーンが展開していきますが、あえて観客が混乱するように描いているんだと思います。
都会も田舎も、過ぎていく時間や忙しなさは一緒なんですねぇ。
もしこのまま小説に落とし込んだら「場面転換が多すぎる」と改稿を求められるんじゃないでしょうか。
小説だと映画と違って「画」が使えませんから、どちらがどちらなのか読者は混乱するはずなので、
セリフなり行動なりで明確に表す必要がありますよね。
あ、たしか小説も出ているんですよね。今度読んでみたいと思います。

日常シーンからのご神体参拝シーン。
登り坂でおばあちゃんを背負う瀧くんは勿論いい子なんですが、すかさずリュックを持つ四葉ちゃんが「できてる子」すぎる!!
この子、毎日お姉ちゃんを起こしに来たり朝食作ったり、いい子すぎるんですが!!神妹か!!
同じ妹をもつ身としてはとてもツボに嵌まりました。
「幽世」と聞いて「あの世だー」走っていく小学生らしさも素敵です。死んじゃうよー、戻っておいで―!

片や瀧くんの先輩とのデートシーン。
先輩の別れ際の「またバイトでね」という一言で「あぁフラれましたね」と察しました。
この段階で瀧くんはどれくらい三葉を意識していたのでしょう。
憧れの先輩よりも三葉のことが気になったのでしょうか。恋愛対象として見ていた…?うむ、よく分かりません。
もしも電話がつながったらなんと言うつもりだったのでしょうか?
(そもそも亡くなった方の携帯にかけてコール音って鳴るのでしょうか?まぁこちらは演出上やむをえませんが)

ゆっくりできたのはこの二つのシーンだけで、そこから怒涛の展開が始まります。
このあたりは説明するのも大変なので割愛します。割愛します。二回言いました。

とりあえずてっしー(勅使河原くん)はキャラの性格が崩壊しませんでしたか?
変電所爆発に同意したのは三葉(中身は瀧くん)を信じて、というより悪乗りとしか思えなかったのですが。
「あれ、きみってそんなキャラだった?」と少しびっくり。

それから糸守町を探す瀧くんについてきた先輩とツカサくん(名前うろ覚え)。
そのまま付き合ったらどうですか?めっちゃ恋人っぽかったですよ。
でもこの二人も瀧くんが心配というより悪乗り感が強くて「結局なにしについてきたの?」という印象。

そういえば三葉も瀧くんも、結局夢のことは友人に話していないんですよね。
「信じてもらえないから」でしょうか。それとも自分でも「信じられない(自信がない)」からでしょうか。
それぞれの友人の厚意(悪乗り感はあっても)に甘えて事情くらい説明してもいいんじゃないかなー?
じつは意外と溝があるの?と勘ぐってみたりして。性格悪くてごめんなさいね。

クライマックス。
彗星の一部が落下することを知って、町民を避難させるため父を説得に駆けていく三葉。
途中でつまずいてゴロゴロと転がります。非常に痛々しい姿ですが、このようなシーンどこかで見た、と既視感が。
思い出したのは「時をかける少女」の主人公・真琴が、電車に轢かれる運命の友達を助けるため追いかけたときです。
坂道を転がり落ちましたね。それはもうすごい勢いで。あれは見て辛かった。
「みじめさ」や「痛々しさ」を描写することで主人公の必死さが観客に伝わり、感動につながるのでしょう。
落として、苦労させて、痛みを負わせて、それでも立ち上がる主人公……これは小説でも大事ですね。

そしてラスト。
電車でのすれ違い。互いに気づく。そして階段で再会し「君の名前は?」でフィニッシュ。
たしかに、電車の中の人ってよく見えますよね。駅が近づいてほぼ並走しているとき目が合ったりするので気まずいです。
という話は置いといて、ふたりはきっと恋人になるのでしょう。
宮水家は養子をとる傾向があるようですが、三葉はどうするのかな?
「宮水三葉」って言いにくいからお嫁さんになるのかな。並べてみると「立花三葉」って字面、可愛いですね。

さて、駆け足で全体を追いかけてみましたが、画は本当にきれいです。
どのシーンでもそのままポストカードに使えるくらい。
ただ全てがキレイだからいい意味でも悪い意味でも慣れてしまって、後半はあまり背景に目がいかなくなってしまいます。
「ここだ」というシーンだけ過剰なくらい画を盛って、他は軽めでもいいのかな、と思いました。あくまでも個人的に、です。

ストーリーは追いかけるのが精一杯でしたね。
もし何の情報もなく観たなら「よく分からなかった。もう一度観よう」となるのかもしれないです。
ただ私のような怠け者は「画はキレイだけど結局よく分からなかったからネタバレ見よう」とネット検索する可能性が高いです。
すべてを過不足なく説明する映画がいいのか、何度でも観て確認したくなる映画がいいのか、それは個々の判断になると思います。

ともあれ「君の名は。」は、美しく、心のこもった作品でした。
やはり映画のスクリーンで見て良かったです。

最後に、私が深く頷いてしまったシーンをお伝えします。
序盤でサヤちんが糸守町のことを説明するときに言った「日が沈むのが早い」という言葉。
これは山間部に住む人間にしか分からないセリフだと思います。さすが小海出身の新海監督。
なんというかもう、これだけで満足です!来てよかった、そう思いました(笑)

ということで、思いついたことをつらつらと書きならべてみました。
監督のインタビューやガイドブックおよび小説の類はまったく読んでいませんので、
勘違いや思い違い、既に説明されている部分もあるかもしれません。
その点はご容赦ください。

Posted by serizawa